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河内勲大小詰物 懸賞出題結果

 投稿者:角 建逸  投稿日:2013年 3月16日(土)10時14分50秒
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  ★今回出題した両題は、平成24年8月開催の第2回たま研課題作「大小詰物」への応募作。手数がやや長いのと収束に若干の乱れがあることもあり、「詰パラ」出題作品には選ばなかったのだが、そのままではもったいないということで、磯田氏のご厚意でWEB公開となった。将来キーワードである「大小詰物」で検索すれば、この結果稿に到達する方もいるのではないかと信じたい。
★さて年末~正月にかけて解答募集をしたのだが、残念ながら解答者はわずか2名。「おもちゃ箱」掲示板にもお知らせを出したのだが、たぶんこのHPをご覧になった方の多くは、初形を見て、少し考えて、そして自力で解くのは諦めたのではないかと推測する。初形曲詰作家・河内勲氏の力作2題、解いてない方も手順を盤に並べていただければと思う。
★なお、肝心の大小詰物の説明については、本稿では割愛する。詳しくは安武利太氏の「詰パラ」平成24年12月号の結果稿ならびに、同氏のブログ「ベイと祭りと詰将棋」同年12月29日付「たま研作品展全総評掲載」をぜひご参照いただきたい。

①「大」
55銀、同金、64金、43玉、35桂、同と、
44歩、42玉、43銀、同角、同歩成、同玉、
21角(イ)32歩合、同角成、同玉、35飛(ロ)33歩合、
44桂、43玉、54金打、同金、同金、同玉、
64と、43玉、54金、42玉、43歩、51玉、
52歩、62玉、63と、71玉、61桂成、同玉、
51歩成、71玉、61と、同玉、52桂成、71玉、
(A)62と、81玉、85飛、92玉、82飛成
まで47手詰
<変化>
(イ)32桂合は、同角成、同玉、35飛、34歩合、33金、同玉、55角、23玉、15桂以下。
(ロ)34歩合は、33金、同玉、55角、24玉、25金以下。

★まずは「大」の字。盤面駒数12枚、さらに「攻方=小、玉方=大」という制約の上での創作だから、手順は二の次になってしまうと解説子のような凡人は思うのだが、職人はうまく手順を積み上げていく。
★あらすじとしては、(1)玉を3筋に呼んで35飛の実現、(2)玉を8筋に誘導し85飛から詰み、というもの。言葉にすると単純に聞こえるかもしれないが、実際は変化も多く簡単ではない。14手目桂合の変化(イ)、18手目34歩中合の変化(ロ)など、一応詰まさないといけない。
小林巧「手数は長いが、特別難しい紛れはなく、すんなりと解けた。玉が44、33の位置に来るのは、いずれも55角が決め手になるので、玉は下へ逃げるしかない」(★お強い)
占魚亭「8手目と20手目の変化を読みきるのに苦労しました。手数が分かっていなかったら、間違えたかも知れません」
★初形曲詰の弱点を挙げるとすれば、玉方の変化が多くなりがちなこと、そして攻方の好手が入れにくいことかと思う。本作は飛車の活用ということで、手順に一本筋が通っており、47手の長手数とはいえ、さわやかな印象を与えるように思う。
★残念なのは冒頭でも述べた収束のキズ。43手目(A)62成桂とし、81玉に72成桂以下の余詰が成立している。条件を鑑みて小キズとしたいが、やはりここがなければというところである。なお、解答者が2名と寂しかったので、棋友に短評をお願いした。以下に掲載する。
飯尾晃「35飛を実現させるまでが大変。させてからも大変だが、積木崩し的手順はうまい」
利波偉「全然詰みそうに見えないが、35桂から44歩で拠点を作って角を奪って21角打ちで打開するとは予想外。収束余詰は痛いがこの条件では止む無しと思う」
安武利太「37飛を世に出すまでの応酬の、底知れぬ奥深さ。これは本当に初形曲詰なのか? あぶり出ししか創れない自分には、何故これほどの手順が正算で引き出せるのか、不思議でなりません。自分の理解を超えた世界です」

②「小」
45銀打、同馬、同銀、同玉、56金(イ)36玉、
57金、27玉、36角、38玉、47角、39玉、
48銀、同玉、58金、39玉、57角、28玉、
37銀、18玉、19歩、同玉、89飛、18玉、
19歩、17玉、35角、16玉、28桂、27玉、
36銀、37玉、39飛、28玉、29飛、37玉、
27飛まで37手詰
<変化>
(イ)34玉は、45角、33玉、25桂、32玉、54角、31玉、81飛成、51歩合、同竜、同金、32歩以下。

★続いて「小」の字。こちらは「攻方=大、玉方=小」と前作と完全に対に仕上げたのがすごい。確かに12枚というのは、大・小といった簡単な漢字を表すのにちょうど良いくらいの駒数ではあるが。
★5手目56金がちょっと打ちにくい手。6手目36玉と入玉を目指してくる玉方に対し、攻方の飛も角も生駒なのと、トドメの金も早々に手放してしまうため、ウナギを手づかみするように、玉はぬるぬると結構長く逃げ回る。これを余詰のような単なる追い手順と見るか、飄々として面白いと見るか。それによって評価はガラリと変わる作品と言える。最後は、ちょっと前に打った桂を邪魔駒消去風に消して幕。
占魚亭「2枚角の力で玉を隅に追い込む」
★小林氏は6手目34玉の変化別詰を答えて×。この変化(イ)を詰ますために、53歩や52金に意味が生じているわけだ。以下は助っ人の短評。
飯尾晃「56金は両作通じての最難手だが、以下は手になっているものの面白味はない」
利波偉「不動駒が多く、余詰手順のような追い廻しで詰みますが、条件の厳しさを考えれば、詰むだけで凄いと思う」
安武利太「中央に取り残される駒が多い、途中から最長手順探しになるなど欠点も目立ちますが、 「大」を見た後ではかえってホッとしたりします。これは間違いなく人間が創った作品だ――そう思えるからでしょう」

【総評】
利波偉「大小詰物になっていて初形が大・小というダブル趣向は河内氏ならではで、実力を見せつけたといって良い作品群でした」
安武利太「2題とも自力で解ける難易度ではなく、作意を鑑賞したうえでの感想ということでご容赦ください。それにしても、3重の難条件を易々とクリアして、高度なレベルに仕上げる作者の創作力には、驚嘆する他なし。「大」は収束の乱れさえなければ…それだけが本当に惜しまれます」
★縁あって一昨年に河内氏の第二作品集「ひより草」を出版させてもらった。「初形曲詰って一体どうやって作るのか」という当初からの疑問は、編集作業を重ねるうちに徐々に薄れていった。河内氏は盤上で遊んでいる中で、大体どういう駒なら詰みになるのかを知っているのではないかと思えたからだ。経験によって、盤上を把握しているのだと。職人である。
★もちろん詰みすぎたり、ちょっと足りなかったりということもあるだろう。その場合には的確な処置を施せばよい。角の長い足をうまく使い、桂などの「つなぎ」の駒を利用して、詰みやすい形を構築していくのは、ある意味作者の「芸」なのだと思う。
小林巧「おもちゃ箱を見ていたら、偶然♪この出題を発見しました。たまたま、お正月は暇なので解答してみました」
★貴方はえらい! 解答をいただいた小林巧・占魚亭両氏には、昨年(平成24年)に解説子が発行した「信濃路」(赤羽守氏作品集)を進呈。
小林巧「手許にある「おくろう記」はあの門脇氏が全詰連ブックスの映えある第一号出版にした位なのだからスゴイだろうとは思うのだが、初形を見て安心してしまうのと、やたら手数が長い物が多いせいで、ほとんど積ん読状態です。これを機にちょっとからかって見ようかなって思います」
★どうやって創作しているのか、それを推測していくと、初形曲詰を何倍も楽しめるはず。ぜひご鑑賞あれ。(了)
 
 
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